杉元一行
-
杉元佐一すぎもと・さいち
帝国陸軍第一師団の元兵士。日露戦争で目覚ましい武功をあげ、その戦いぶりから"不死身の杉元"と呼ばれる。戦死した幼なじみとの約束を果たすため、北の大地に隠された埋蔵金を探し求める。
-
アシㇼパ
北の大地を生き抜く知恵と優れた狩猟技術を持つ、誇り高きアイヌの少女。アイヌの埋蔵金を強奪した男に父を殺された理由を知るために杉元と行動を共にすることを決意する。
-
白石由竹しらいし・よしたけ
"脱獄王"の異名を持つ天才脱獄犯で、埋蔵金のありかを示す刺青が彫られた24人の脱獄囚のひとり。埋蔵金の分け前をもらうために、杉元たちに協力する。お調子者だが、義理堅い一面も。
第七師団
-
鶴見篤四郎つるみ・とくしろう
陸軍最強とされる第七師団の中尉。情報収集や分析能力に秀でた情報将校。北海道を制圧し軍事政権を作る野望を抱き、アイヌの埋蔵金を狙う。前頭部を欠損してから、額当てを身につけている。
-
月島基つきしま・はじめ
第七師団軍曹。鶴見中尉の補佐役として日露戦争に参加し、戦後も彼の野望を実現させようと動く。鶴見中尉に対して並々ならぬ忠誠心を抱いている。実直な性格。
-
尾形百之助おがた・ひゃくのすけ
第七師団上等兵。すご腕のスナイパー。暗号の刺青を持つ脱獄囚を巡って杉元と対峙し、命を落としかける。どういう狙いで行動しているのか、目的は分からない。
-
二階堂浩平にかいどう・こうへい
第七師団一等卒。双子の兄弟の洋平と拘禁状態の杉元を襲撃した際、返り討ちに遭って洋平を殺されてしまった経緯があり、杉元に対する復讐に異様なまでの執念を燃やしている。
-
谷垣源次郎たにがき・げんじろう
第七師団一等卒。狩猟を生業とする阿仁マタギの生まれ。山で生きるすべを心得ている。アシㇼパを守る白い狼のレタㇻと格闘した際に脚を負傷する。義理堅く真っ直ぐな性格の持ち主。
-
鯉登音之進こいと・おとのしん
第七師団少尉。海軍少将の父を持つ"薩摩隼人"。鶴見中尉に心酔している。興奮状態に陥ると早口の薩摩弁になったり、"猿叫"と呼ばれる奇声を上げたりする。並外れた身体能力を備える。
土方一派
-
土方歳三ひじかた・としぞう
新撰組・鬼の副長。暗号の刺青を持つ脱獄囚のひとりで、自らの野望実現のため金塊を狙っている。網走監獄収監中にアイヌの埋蔵金を奪った男と関わり、刺青囚人たちの脱獄を指揮した。
-
永倉新八ながくら・しんぱち
新選組二番隊組長。剣の達人。樺戸集治監に剣術指南役として出入りしていた際、かつて袂を分かった土方と再会。土方の脱獄後は、資金や武器の調達など物心両面で彼を支援している。
-
奥山夏太郎おくやま・かんたろう
茨戸の賭場を仕切る日泥親子の手下だったが、あるとき土方歳三に出会いその圧倒的な生きざまに魅了される。自分との格の違いを見せつけられた夏太郎は、その後、土方の下に就く。
-
家永カノいえなが・かの
体の不調を動物の同じ部位を食べて治す“同物同治”の考えを信奉する元医者で、暗号の刺青を持つ脱獄囚のひとり。実際は年老いた男性だが、現在は若い女性の姿でホテルの女将を装っている。
-
牛山辰馬うしやま・たつうま
"不敗の牛山"と呼ばれる柔道の達人で、暗号の刺青を持つ脱獄囚のひとり。はんぺんのように盛り上がった額のこぶは、釘をはね返すほど硬い。利害関係が一致した土方一派に加わる。性豪。
アイヌ
-
キロランケ
アシㇼパの父ウイルクの古い友人。極東ロシアのアムール川流域に暮らす少数民族の出身。第七師団所属の工兵として日露戦争に参加した経験をもつ。火薬を用いた武器作りの技量も高い。
-
インカㇻマッ
"見る女"という意の名を持つ、ミステリアスなアイヌ女性。「シラッキカムイ」というキツネの頭骨を使った占いを得意とし、アイヌのコタンを渡り歩き、貢ぎ物を得ながら生活している。
-
オソマ
"うんこ"の意の名を持つ、アシㇼパの従妹にあたるアイヌの少女。アイヌでは、病魔を避けるためにあえて汚い幼名を付ける風習があるが、オソマは体が弱かったため本名もオソマとなった。
-
チカパシ
家族と死別し、村の老人たちに育てられた天涯孤独のアイヌの少年。アシㇼパを探す旅に出た谷垣とインカㇻマッを追い、そのまま旅に同行する。名前の意味は「陰茎を立てる」。
-
アチャ(ウイルク)
アシㇼパの父。樺太アイヌの母とポーランド人の父の間に生まれた。アイヌを迫害する和人(日本人)に対抗する軍資金として集めた金塊の強奪に遭って殺害された。アチャはアイヌ語で「父」の意。
-
フチ
アシㇼパの母方の祖母。病死した夫が村で一番偉い人物だったため、村人から一目おかれている。アシㇼパのことを宝物のように大切に思っている。フチとはアイヌ語で「祖母」のこと。
刺青囚人とその仲間
-
二瓶鉄造にへい・てつぞう
アシㇼパに助けられて家族同然に育てられたエゾオオカミの生き残り、レタㇻを仕留めることに執念を燃やす血気盛んな猟師。単発式の村田銃を愛用する。暗号の刺青を持つ脱獄囚のひとり。
-
辺見和雄へんみ・かずお
日本各地を放浪しながら100人以上を殺してきた連続殺人鬼で、暗号の刺青を持つ脱獄囚のひとり。最高の死に方を想像して興奮するという特殊な性癖を持つ。表向きは人当たりが良い。
-
若山輝一郎わかやま・きいちろう
長ドスで過去に何人もの商売敵を切り倒してきたヤクザの大親分。暗号の刺青を持つ脱獄囚のひとりだが、暗号の刺青は上半身のくりからもんもんを避けて下半身に彫られている。
-
仲沢達弥なかざわ・たつや
若山の子分で恋人。若山を"親分"と慕い、若山からは"姫"と呼ばれている。丁半賭博のつぼ振りの腕前は一級品。イカサマ賭博で、若山に多くの利益をもたらしてきたと思われる。
争奪戦に関わる者たち
-
のっぺら坊のっぺらぼう
アイヌの金塊を強奪し、網走監獄に収監された人物。同房の囚人に金塊のありかを示す刺青を彫り、彼らを脱獄させた。顔の皮膚を失っていることから「のっぺら坊」と呼ばれる。
-
江渡貝弥作えどがい・やさく
剥製作りにより良い環境を求めて夕張に移り住み、剥製所を営む青年。母のゆがんだ愛情の影響で人間の剥製相手に生活し、墓場を荒らして彼なりの「作品」を作る。
あ行
-
アイヌの埋蔵金まいぞうきん
アイヌを迫害してきた和人(日本人)に抵抗すべく、一部のアイヌがためていたとされる軍資金(金塊)のこと。
-
網走監獄あばしりかんごく
北海道に位置する日本最北端の刑務所。アイヌの埋蔵金を盗んだのっぺら坊は、この監獄内の囚人たちに埋蔵金のありかを示す暗号の刺青を彫り、脱獄させた。
-
刺青囚人いれずみしゅうじん
のっぺら坊により、埋蔵金のありかを示す暗号の刺青を彫られた囚人たち。全部で24人おり、全員の刺青をつなぎ合わせると、アイヌの埋蔵金のありかが分かるとされる。
-
刺青人皮いれずみにんぴ
刺青囚人たちから剥がされた、刺青が彫られた皮膚のこと。刺青の模様は正中線で途切れており、剥ぐことを前提に彫られたものであることを示している。
-
蝦夷共和国えぞきょうわこく
幕末・戊辰戦争末期に箱館に成立した旧幕府軍の残存勢力による事実上の政権の俗称。土方一派は、アイヌの埋蔵金を元手に、蝦夷共和国の復活をもくろんでいるのか!?
か行
-
ガスケ
炭鉱で起こるガス爆発のこと。
た行
-
第七師団だいしちしだん
大日本帝国陸軍の師団の一つ。鶴見中尉を筆頭とする一部のメンバーは、アイヌの埋蔵金を軍資金にした新たな軍事政権の樹立をもくろんでいる。
な行
-
鞣しなめし
動物の皮を加工する際、皮に残っている肉片や脂を削ぎ落とすことで、腐敗を防いだり機能性を高めたりする工程のこと。タンニンやミョウバンなどを使った方法がある。
-
203高地にひゃくさんこうち
中国東北部にある丘陵。日露戦争最大の激戦地として知られる。203高地の激戦には杉元や第七師団(鶴見中尉、尾形、谷垣ら)も参戦している。
は行
-
土方一派ひじかたいっぱ
杉元一行、第七師団と同様に、アイヌの埋蔵金を狙う勢力。刺青囚人で新撰組の土方歳三が率いる。永倉新八、牛山辰馬らが主なメンバー。
-
疱瘡ほうそう
古くから知られている、伝染力が非常に強く致死率も高い疫病。天然痘。
ま行
-
マタギ
東北地方や北海道などで、伝統的な狩猟方法を守って狩りをし、それを生業とする者。谷垣源次郎はマタギの家の生まれで、第七師団に加わる前は自身もマタギだった。
-
モッコ背負いもっこしょい
ニシン漁の労働の一つ。木製の背負い箱にニシンを入れて、集積場まで運ぶ仕事。
や行
-
ヤン衆やんしゅう
ニシン漁のために雇われて働く人たちのこと。
あ行
-
アットゥㇱ
オヒョウという木の皮を加工した糸で編んだ反物。これで作られた衣服のこともアットゥㇱと呼ぶ。
-
イチャニウ
サクラマスのこと。イチャニウとコㇿコニ(フキ)とプクサ(ギョウジャニンニク)を入れて塩で味付けしたオハウ(汁物)は、絶品らしい。
-
エポタラ
お祓い
-
オソマ
「うんこ」「うんこをする」の意。アシㇼパは杉元が持っている味噌をオソマと勘違いして毛嫌いしていたが、そのおいしさを知ってからは好きになった。
-
オハウ
アイヌの伝統料理で、汁物のこと。「ゴールデンカムイ」ではリス肉のオハウやイチャニウ(サクラマス)のオハウ、ウサギのオハウなどさまざまなオハウが登場する。
か行
-
カムイ
身の回りの役立つものや力の及ばないものなどを指すアイヌの言葉。アイヌはそれを「カムイ(神)」として敬う。劇中では「キムンカムイ(クマ)」や「ホㇿケウカムイ(オオカミ)」「レプンカムイ(シャチ)」などカムイの名が付く動物も数多く登場する。なお、人を襲った動物は「ウェンカムイ(悪神)」と呼ばれる。
-
コタン
村、集落のこと。アイヌのコタンは大きな川や河口付近に、数戸から数十戸のチセと呼ばれる家が集まって形成され、村長を中心に秩序正しい社会生活が営まれている。
-
コㇿコニ
フキのこと。春を代表する食材の一つ。アクが強いので、食べると口の周りが黒くなることがある。
た行
-
テクンぺ
手甲。アイヌの女性は好きな男性にテクンぺを作って渡す習わしがある。
-
テㇱ
魚を捕るための仕掛けで、木で作ったせきのこと。
-
チタタㇷ゚
「我々が刻むもの」という意味。劇中では、動物の肉や魚の氷頭(ひず)、えら、白子などを細かく叩いてミンチにしたものを指す。「チタタㇷ゚」と言いながら叩くのは、アシㇼパの家の習わし。
-
トンコリ
アイヌに伝わる弦楽器。5本の弦が張られていることが多く、「五弦琴」とも呼ばれる。
な行
-
ニウォㇰ
先祖代々伝わる狐の下顎の骨を使う占いのこと。インカㇻマッは、このニウォㇰを得意とする。
-
ニㇱパ
紳士という意味を持つアイヌ語の男性の敬称。
は行
-
ヒンナ
「ありがとう」といった感謝の意を表す言葉。食事の際に「ヒンナ」と言うのは、「(食べ物を贈ってくれたカムイと料理を作ってくれた人に)おいしいものをありがとう」という意味になる。
ま行
-
マキリ
アイヌの伝統的な小刀。さやの彫刻には彫った者の個性が現れるとされ、アイヌの男性は好きな女性に自分で彫ったマキリを贈って自身の生活力を示すこともある。
-
マタンプㇱ
アイヌが着用する伝統的なハチマキ。アイヌ文様の刺繍で装飾が施されている。
ら行
-
ルイペ
生の魚や肉を凍らせてから、解凍せずに刺身として食べる郷土料理。「溶けるもの」という意味がある。